店舗 躯体改修工事(金沢市内)
金沢市本町の通り沿いにある貸し店舗の改修工事をしました。
モルタル塗りの大正ロマンな外観が特徴の店舗ですが、
2階部分が傾いていて、できるだけ急ぎでと改修工事の依頼を受けました。
2階部分、写真の左側が傾いているのがはっきり分かるかと思います。
建物内部から一部解体して確認したところ、
この部分の梁が腐敗でほぼ無くなっていました。
ジャッキアップしている様子です。
ジャッキを複数使用しながら、全体の傾きを直していきます。
実は建物外側から見て右側の建物と、それほど離れに余裕がありません。
あまり傾きを直すことばかりに気を取られると、隣の屋根とこの建物の屋根が接触する危険もあったので慎重に作業を進めました。
これは左隣のクリニック側に面する外壁です。(一番傾いて沈んでいた部分)
あらかじめ切れ目を入れて縁を切っていた部分の裂け目が、ジャッキアップしたことで、ここまで広がりました。
切れ目を入れておかないと外装に無理な力がかかり、後の補修が更に大変になるためこういった対処をします。
腐敗して無くなった梁の替わりに、新たに横架材を入れて、柱も追加しました。
既存部分との接合も金物等で補強して、崩壊の危険は回避できました。
さらに内側から面材も当てて、線ではなく、面で耐震できるようにしました。
ここまでくると、建物として安心できますね。
ビフォーアフターです。
傾きがかなり改善されたのが分かりますか?
改修工事のやり方もいろいろあります。
耐震性ももっとあげようと思えば、内外装をきれいに解体して骨組み状態にしてから耐震改修することも可能です。
ですがこちらの建物は、文化的に残す価値があると行政からもみなされ、外観まで改修しようとすると、行政との工事方法の調整等、着工までに1年以上かかることが分かりました。
そんなに時間をかけているうちに、建物自体が崩壊しては意味がありません。
早急に改修工事に対応してやはり良かったと考えております。
1年待って、台風でもきていたら、本当に建物自体がなくなっていたと思います。
店舗を借りたいという方もすぐに見つかったようで、また街が活気づくと嬉しいですね。
余談ですが、なぜ2階を支える梁が腐敗していたかというと、屋根が雨漏りしやすい構造だったからです。
金沢は雨や雪が多い地域です。
雨が滞ることがないように、屋根を改修する時は、屋根の造りをきちんと知っている経験豊富な業者に依頼してくださいね。